→大血管の手術トップへ

4. マルファン症候群について

 マルファン症候群とは、遺伝性に発症する病気で、心臓血管系の異常、筋肉骨格系の異常および眼病変を合併します。病気を起こす遺伝子の解析が現在進められています。心臓血管系に手術を必要とする病変を高率に発症するため、心臓血管外科医にとっては大変縁が深い患者群です。

 筋骨格系に特徴があります。身長が高く、体型は細く、手足(指)が長いのが一般的です。また脊椎側彎(そくわん)や漏斗胸(胸が窪んでいる)があり、自然気胸を合併することもあります。眼病変に関しては、「水晶体亜脱臼」という病気や、近視、網膜剥離を起こします。

 心臓血管系では以下の病変が生じ得ます(それぞれが合併して起こり得ます)。

 特に大動脈の病気は大動脈全域にわたって生じる可能性があります。また再発も起こしやすく、複数の手術を余儀なくされることが多くあります。また、マルファン症候群の大動脈瘤は他の原因による瘤と比較して早く大きくなる傾向があるとされ、短い間隔の検査や、場合によったら早期の手術が必要です。よって20代などの若い時期に初回手術が行われることが多く、手術に際しては後々のことを十分に考慮した計画を立てなければなりません。